高脂血症の食事療法
高脂血症の食事療法とは
 高脂血症の治療は、病気を治すというよりも高脂血症によって進む動脈硬化や、それによる心筋梗塞、脳梗塞を予防する事に最終目標があります。病気の治療をすると言うと”薬を飲む”ことを考えがちですが、高脂血症の治療は、食事療法や運動療法、それに禁煙などの生活習慣の改善を行い、それでも効果が無い場合に薬による治療を行ないます。
食事療法の基本
 同じ高脂血症でもコレステロール値が高いタイプ(高コレステロール血症)と、中性脂肪が高いタイプ(高中性脂肪血症)、そしてどちらも高いタイプ(混合型高脂血症)では、食事療法の進め方に違いがあります。
タイプ別食事療法
・高コレステロール血症
エネルギー摂取を必要最低限にとどめ、その範囲内で栄養のバランスをとりましょう。コレステロールを多く含む卵や、血中コレステロールを増やすお肉の脂身などは控えましょう。逆に、血中コレステロールを減らす青背の魚や、食物繊維を多く含む海藻などは積極的にとりましょう。
・高中性脂肪血症
高コレステロール血症と同じく、エネルギーの摂取を制限しながら、栄養のバランスをとります。肥満がある場合はカロリー制限をしっかり行ないます。動物性脂質を控え、アルコールや糖分をとり過ぎないように気をつけましょう。
・混合型高脂血症
前述の両タイプのポイントを合わせて実行します。
☆自分の適正エネルギー量を知りましょう
食事療法を始める時に気にしなければならないのは、1日の食事量です。好きなものを好きなだけ食べていると、栄養が偏るばかりか、知らない間に必要以上にエネルギーをとってしまい、これが肥満や高脂血症、高血圧症、心筋梗塞、糖尿病などの生活習慣病を誘発する原因にもなります。
<標準体重>
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
<適正エネルギー>
上記の標準体重をもとに、身体活動レベルを加味して割り出します。
適正エネルギー(kcal)=標準体重(Kg)×身体活動レベル(kcal)
身体活動レベルの目安(kcal)
低い・・・25〜30kcal
・軽作業やデスクワークが中心の生活、主婦など
ふつう・・・30〜35kcal
・立ち仕事が中心の生活、製造業・サービス業に従事されている方など
高い・・・35kcal
・力仕事が多い方、農業、漁業、建設業に従事されている方など
☆バランスの良い食事をしましょう
”栄養バランスのよい食事”とは、具体的には三大栄養素である炭水化物(穀類、イモ類など)、たんぱく質(肉や魚、大豆、大豆製品など)、脂質に加え、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂ることです。
厚生労働省が推奨する6つの基礎食品群のなかから、1日30品目摂取すれば、偏りのない理想的な食事になります。
脂質・塩分・食物繊維・糖質について
☆脂質の量と質に注意して、上手に取り入れましょう
高脂血症の人は脂肪の摂りすぎに注意しなければいけませんが、やみくもに制限するのではなく、脂肪の種類を考慮してコントロールすることが大切です。
脂肪の種類は、中に含まれる脂肪酸によって決まります。
脂肪酸の種類
飽和脂肪酸(コレステロールを増やす)
肉の脂身、ラード、鶏の皮、バター、ベーコンなど
不飽和脂肪酸(コレステロールを減らす)
一価不飽和脂肪酸・・・オリーブ油、なたね油など
多価不飽和脂肪酸
・n-6系・・・コーン油、ごま油、くるみ、松の実など
・n-3系・・・しそ油、なたね油、サラダ油、魚油など
不飽和脂肪酸は適量を摂ることで、コレステロール値を下げますが、摂り過ぎると逆効果になりますので注意しましょう。
☆高コレステロール食品との付き合い方
コレステロール値の高い人は、高コレステロール食品を控える必要があります。すべてを排除するのではなく、上手に適量を摂る工夫をしましょう。
高コレステロール食品(例)
鶏卵、レバー、鶏手羽元、バター、生クリーム、魚介類(いか、すじこ、ししゃも、たらこなど)
いかのようにタウリンを多く含む食品はコレステロール値が高くてもあまり神経質に避ける必要はありません。
☆抗酸化食品
コレステロールが酸化されると、動脈硬化が進行するといわれています。抗酸化食品の代表格はビタミンE、C、βーカロチンを含む野菜や果物(果物に含まれる果糖は体脂肪に合成されやすいので食べすぎには注意しましょう)です。また、お酢などに多いクエン酸やポリフェノール類(カテキン、フラボノイド、イソフラボンなど)などがあります。
☆塩分は控えめにしましょう
塩分の摂りすぎは血圧を上げる要因になります。高脂血症に高血圧を合併すると動脈硬化が進みます。
☆食物繊維をしっかり摂りましょう
腸の働きを良くすることで知られている食物繊維は、コレステロールの吸収を抑えて排泄を促したり、食後の急激な血糖値の上昇を防いだり、高血圧の原因となるナトリウムの排泄を促したりと、とても働きものです。
食物繊維には水に溶けやすい水溶性と、水に溶けにくい不溶性の2種類がありますが、このうちコレステロールを減らしたり増加を抑える効果が早いのは、果物、海藻などに含まれる水溶性食物繊維です。一方きのこや穀類、イモ類、野菜に含まれる不溶性食物繊維は腸の働きを活発化し、便の硬さを増やして便通を良くします。この際、発がん性物質などの有害な物質と一緒にコレステロールも体外に排出されるので、大腸がんのほか、コレステロール値の低下や肥満予防にも効果があるといわれています。
水溶性、不溶性にかかわらず食物繊維を十分に摂りましょう。
<食物繊維の多い食品>
穀類・・・玄米、胚芽米、ライ麦パンなど
イモ類・・・里芋、さつまいも、じゃがいもなど
海藻、こんにゃく類・・・こんにゃく、しらたき、寒天、ひじき、わかめなど
きのこ類・・・きくらげ、えのきだけ、しめじ、しいたけなど
豆類・・・大豆、納豆、おから、いんげんなど
野菜類・・・ごぼう、切干大根、かぼちゃ、れんこんなど
果物類・・・柿、バナナ、キウイフルーツなど
☆きのこをたっぷり使った <
豆腐ステーキ>のレシピは こちらから
厚生労働省では、1日の食物繊維摂取の目標量を20gとしています。現代の日本人は不足気味です。
☆糖質の取りすぎに注意しましょう
砂糖や果物などの糖質の取りすぎは中性脂肪を増加させます。カロリーオーバーにならないように、量を決めて食べ過ぎないように気をつけましょう。また、間食や種類にも気を配り、低カロリーで動物性脂肪の少ない物をできるだけ選ぶようにしましょう。
外食や調理のポイント
☆外食対策
脂肪や塩分が多く、栄養が偏りがちな外食は、メニュー選びが重要なポイントです。コレステロール値や中性脂肪値を上げる食品は摂り過ぎないように気をつけましょう。
外食メニューの選び方&食べ方
・定食を選ぶ(特に和定食がオススメ)
・脂肪の多い肉類や揚げ物は避ける
・麺類の汁物は残す
・単品(丼や麺など)には野菜料理をプラスする
☆上手な食品の選び方と調理のコツ
・コレステロールや脂肪を多く含む肉類ですが、大事なたんぱく源なので、部位を選んだり、調理の際に脂肪を落とす工夫をして、上手に摂取しましょう。
肉類の効率的な摂り方は、低脂肪で高たんぱくの部位を選ぶことです。豚肉や牛肉の場合は脂身の少ない赤身、また鶏肉はなるべく皮や脂肪の少ない部位を使いましょう。
(例)鶏肉・・・手羽→モモ→ムネ→ささ身
☆調理前に脂身をカット
・茹でる、蒸すなどして脂をカットする
・調理前に脂をカットする
・フッ素加工のフライパンを使う
・肉を焼く時には網焼きにして脂を落とす
・煮込み料理ではアクと一緒に脂を取り除く
☆減塩のポイント
しょうゆや味噌、食塩などの調味料を控えめにし、化学調味料に頼らず、天然のだしを濃くとり、料理を薄味にします。
そのほかのポイントは、胡麻やパセリ、ゆずなど香りの強い薬味を使って味にアクセントをつけたり、鮮度の良い食材を選び、素材本来のおいしさを楽しみましょう。刺身は、しょうゆの代わりに大葉で包んで食べるのも良いでしょう。
高脂血症おすすめレシピ
 ☆豚肉ときのこのおろしポン酢
一人分のエネルギー120kcal コレステロール30mg
<材料(4人分)>
豚ロースもも薄切り…200g
しめじ…120g
えのき…80g
モロヘイヤ…120g
レタス…160g
ミニトマト…4個
大根…100g
大葉…4枚
ポン酢…大さじ4
作り方
1、豚肉はボイルして、食べやすい大きさに切る。
2、しめじは石づきを取り、えのきは下の部分を落としてさっと洗い、ボイルしておく。
3、モロヘイヤは硬い茎根を取り除き、ボイルしておく。
4、レタスは洗って適当な大きさにちぎっておく。
5、大根はすりおろす。
6、お皿に、レタスを2箇所に分けて盛り、片方に豚肉を乗せて大葉を散らす。もう片方に、モロヘイヤとしめじ、えのきを乗せる。ミニトマトを飾る。
7、大根おろしとポン酢をかけて出来上がり。
生活習慣病の食事療法へ
|